歩き始めに足の裏に痛みを感じることはありませんか?
歩き初めの足の裏の痛みは足底腱膜炎の可能性が高いです。筆者は理学療法士として働いていますが、実際に自身で経験した足底腱膜炎の体験談と改善方法についてお伝えします。
歩き始めの足の裏の痛み「足底腱膜炎」
朝、起きてから最初の一歩を踏み出した時に、かかとに強い痛みが走り、少し歩くと徐々に痛みがましになってくるという症状を経験したことはありませんか?
これは足底腱膜炎(足底筋膜炎とも言われたりします)の典型的な初期症状の一つです。足底腱膜炎とは、足の裏のかかとから指の付け根へと及ぶ靭帯性の膜である足底腱膜に炎症が起こり、痛みが生じる疾患のことです。いわゆる”土踏まず”の部分ですね。
足底腱膜炎の大きな要因として、歩行や運動などによって足底に過剰な負担が繰り返しかかることが挙げられます。普段、歩くとかかとや土踏まずなどに知らず知らずのうちに負担がかかっています。
身近な例を挙げると、筆者は趣味で1回45分程度の軽いジョギング(早歩きよりも少し早いペース)を週に2〜3回ほど行っています。走った日の翌日の朝、起きてすぐ、歩き始めに足の裏〜踵にかけてしばらく痛みがあります。しかし、10分程度家の中を歩いていると痛みはすっかりなくなっています。これは、足底腱膜炎の典型的な初期症状です。
足底腱膜炎になると、土踏まずに力が入ると違和感があるため、歩行時の足への衝撃を吸収する働きがある土踏まずをうまく活用することができなくなります。
足底腱膜炎になる原因
主となる原因は、スポーツなどの運動によって足底筋膜に負荷がかかることです。走る、ジャンプする、ストップ&スタートの動作が多いスポーツは特にリスクが高くなります。また、そういったスポーツを硬い地面で行ったり、不適切な靴で行ったりすることも要因の1つとなります。
スポーツ以外では、長時間の歩行や立ち仕事、肥満、加齢による足の筋力・柔軟性の低下も足底筋膜炎の原因になることがあります。
筆者のように、軽いジョギングを趣味で少し行っている程度でも足底腱膜炎になることがあります。大きな負荷が継続的に掛かるような激しいスポーツを毎日のようにしているわけでもないのに、なぜ足底腱膜炎になってしまうのでしょうか?
これは、
- ふくらはぎの筋肉の硬さ
- 足関節の硬さ
- 左右の足の筋肉のアンバランス
が大きく関係しています。
歩行のメカニズムとして、足を前に降り出したあとに踵を接地させ、その後に足首が徐々に前に曲がり、体を前に押し出し前進します。このときに足首やふくらはぎの筋肉が硬いと、それを補うために足の裏の足底腱膜に過剰な負担が掛かり、軽い運動でも炎症を起こしやすくなるのです。
足底腱膜炎を予防するストレッチ・マッサージ
実際に筆者の場合、右のふくらはぎのだるさや硬さを日頃から感じていたので、走る前と寝る前にふくらはぎのストレッチを入念に行うようにしました。具体的な方法は、一般的にいわれる”アキレス腱伸ばし”のストレッチです。
①ストレッチしたい方の足を後ろに出し、踵を地面に付けます。
②前にある足の膝を曲げ体を前にゆっくりと倒していきます。このとき、後ろにある足の踵は必ず地面に付けておきます。
③ふくらはぎに心地よい伸長感がある状態で20秒ほど姿勢を維持します。
また、足の裏(土踏まず)をマッサージすることも足底腱膜炎の改善に効果があります。足底腱膜は硬いため、手でマッサージをしてもあまり効果がありません。
階段の段差のへりや駐車場の車止め、家の中の敷居などの「先が尖っていない突起物」に土踏まずを当てて上に乗り、自重を使ってマッサージをするのが簡単でおすすめです。(転倒には十分注意してください。)筆者もジョギングの途中の駐車場でマッサージを行いました。
筆者の場合は、これらのストレッチとマッサージを1週間ほど続けると朝起きたときの足の裏の痛みがなくなりました。
足底腱膜炎を予防する筋力トレーニング
また、足の裏の土踏まずのアーチを鍛えることで足底腱膜炎の予防と改善が可能です。「タオルギャザー」という方法で鍛えることができます。
①足の下にタオルを敷き、足は動かさず、足の指だけを動かしてタオルをたぐり寄せます。
②繰り返します。
自宅でもタオルさえあれば簡単にできる運動なので、ぜひ試してみてください。
まとめ
- 歩き始め
- 朝起きてすぐの足の裏の痛み
という症状は足底腱膜炎の可能性があります。
足底腱膜炎は、土踏まずにある足底腱膜に過剰な負担が掛かることで炎症を起こし、痛みを感じる疾患です。
足底腱膜炎と聞くと「毎日激しく運動している人に起こること」と思う方も多いと思いますが、実際はそうでもありません。筆者のように、久々に運動を始めて、体や足が硬かったり、筋肉の左右のバランスが偏っていると簡単になってしまうこともあります。
上述のストレッチや簡単な運動などのセルフケアで完治する程度の軽い症状なら良いですが、重症の場合は痛くて歩けなくなることもあるので、痛みが長引く方は早めに整形外科を受診することをおすすめします。