理学療法士をしていると、街中で靴の踵を踏んで歩いている方や、靴の手入れが行き届いておらず、汚れている靴を履いている方を見ると職業柄、気になってしまいます。靴選びの際、「足のサイズ」は多くの方が注意して靴を選ぶと思いますが、実は、「足の形(種類)」も同じか、それ以上にすごく重要な靴選びの要素です。靴を選ぶ際は、自分の足型に合ったものを選ぶことが大切です。サイズや幅がフィットしない靴を履いていると、靴の中で指先が圧迫され足の異常を引き起こす場合があります。
実は、足型は、おおよその形状に応じて分類が可能です。今回は「エジプト型」「ローマ型」「ギリシャ型」「ドイツ型」「ケルト型」という5つの足型について、それぞれの特徴や靴の選び方を解説します。自分の足にフィットする靴を見つけるための知識が得られるので、ぜひ最後までご一読ください。
足に合わない靴を履いていると起こるデメリット
自分に合った靴を選ぶためには、足型の種類を考慮することが大切です。単にデザインや価格を重視し、自分に合わない形状の靴を履いていると、それだけで足に大きな負担がかかることもあります。
靴が合わないと、足のトラブルだけでなく、姿勢の悪化などの原因となる可能性もあります。高齢になっても自分の足で健康的に歩くためには、若いうちから足型に合った靴を選ぶことが重要です。合わない靴を履き続けることによって生じる代表的な足の異常が、魚の目や外反母趾です。
魚の目
魚の目は、足の裏や指の皮膚が硬く厚くなってしまうために、地面に触れたときに痛みを伴う症状です。靴がフィットしていないと特定の部位に重みがかかるため、魚の目ができやすくなります。
外反母趾
外反母趾は外部からの圧迫等によって親指の付け根が、体の内側へ、くの字に曲がる症状です。飛び出した親指の付け根が靴に触れ痛みを生じさせたり、指が変形して隣の指と重なったりする場合もあります。
足の種類とそれに合う靴は?
足の種類はエジプト型、ローマ型、ギリシャ型、ドイツ型、ケルト型の5種類に分かれます。
エジプト型の特徴
エジプト型は足の親指が最も長く、人差し指→中指→薬指→小指と進むにつれ徐々に短くなる足型で、日本人に最も多いタイプです。祖先である農耕民族が地面をしっかり踏みしめる生活様式であったため、親指が最も発達したと言われています。エジプト型は、外反母趾のような足の変形が起きやすい足の種類です。親指が長いため、靴の中で指が曲がりやすく、歩き方が歪みがちになります。窮屈な靴を履き続けることで指の付け根が圧迫され変形しやすいので、靴選びには十分な配慮が必要です。
エジプトの靴の選び方
エジプト型の方は、親指にゆとりがある靴を選ぶようにしましょう。おすすめなのは、つま先がななめに切り取られたオブリークトゥの靴です。オブリークトゥは足の形を意識して作られており、指先を締め付けることが少ないデザインです。オブリークトゥは、健康靴の定番にも使われています。エジプト型には先端が丸くなっており、一般的に広く普及しているラウンドトゥも適しています。ラウンドトゥは種類が豊富で、フォーマルからカジュアルまで、幅広い場面に使用できます。
ローマ型の特徴
ローマ型はスクエア型とも呼ばれ、親指から中指まで3本の長さが同程度であることが特徴です。日本人には少ないタイプの足型だとされています。ローマ型はつま先が四角い形状なので靴の形とフィットせず、指同士が圧迫される可能性があります。歩く際に指が横に広がる傾向があるため、先が尖った、見た目がシャープな靴は向いていません。しかし、横幅に余分があると歩き方がブレるため、外反母趾等を引き起こす可能性もあります。ローマ型の足をしている方は、靴の幅を重視して選ぶ必要があります。
ローマ型の靴の選び方
ローマ型の足とフィットしやすいのは、靴先が四角いタイプの靴です。靴先が四角くスペースがあるため、ローマ型の独特な形をした指でもうまく適合します。一般的に流通している靴は、つま先がシャープな形状や丸まっているものが多いので、ローマ型の方は、望む形の靴を見つけにくいかもしれません。一般的に普及しているラウンドトゥ型でも、丸みが強いタイプであれば、トラブルなく履ける場合もあります。つま先の傾斜が激しい靴の場合、親指や小指が圧迫される可能性が高いため、できるだけ避けるのが無難です。
ギリシャ型の特徴
ギリシャ型の足は、人差し指が最も長いのが特徴で、親指と中指がほぼ同じ長さです。その次に薬指、小指と続きます。ギリシャ型はエジプト型に次いで日本人に多い足型とされています。
狩猟採集時代に、獲物を狩るためにダッシュして瞬発力が鍛えられたことが起源だと言われています。地面を蹴る機会が頻発したため、人差し指が発達した可能性が高いです。ギリシャ型は重心が前にかかりやすいため、タコや魚の目ができやすい足型だとされています。
ギリシャ型の靴の選び方
足の人差し指が長いため、他の足型と比較し、つま先が圧迫されやすいです。このため、つま先が突き出した、アーモンドのような形をしたアーモンド・トゥが適しています。また、さらにつま先が鋭くシャープな形状のポインテッド・トゥもおすすめです。シャープな靴をクールに履きこなせることは、ギリシャ型のメリットだと言えます。丸みのある靴を履きたい場合は、つま先の中央部が突出しており、左右対称になだらかなカーブを描くものを選ぶと良いです。
他にも四角いつま先のスクエアトウのうち、丸みがあるセミスクエアトゥを選んでみるのも良いかもしれません。セミスクエアトゥは、ラウンドトゥとスクエアトウの良い部分を併せ持ちます。先端から緩いカーブを描いているため、比較的どんな足型にもフィットします。セミスクエアトゥは日本国内で広く販売されているため、お気に入りのデザインや価格帯の商品も見つけやすいはずです。
ドイツ型の特徴
ドイツ型は指の長さがすべて均一という特徴的な足型です。日本人にはスクエア型より割合が少なく、ほぼ見かけないタイプだとされています。珍しい足型なのでフィットする靴が少なく、ローマ型と同じく、靴選びが難しいタイプです。
ドイツ型の靴の選び方
ドイツ型の場合、基本的にはローマ型と同様、スクエアトゥやラウンドトゥの靴を選びましょう。ドイツ型の方は、履きやすい靴を見つけるのが難しいと感じるかもしれません。しかし、足幅とサイズに気を付ければ、自分に合った靴を見つける確率を高められます。正しい足幅は親指の付け根から小指の付け根までです。測定する際に覚えておいてください。
ケルト型の特徴
ケルト型は人差し指が最も長く、次いで親指と中指が、最後に薬指と小指が同程度の長さを示す足型です。ケルト族の足型が由来とされており、日本人ではほぼ存在しない足型です。眺めた時に段々になっているため、不揃いな印象を抱きやすいと言えます。
ケルト型の靴の選び方
人差し指が長いため、靴の選び方は、ギリシャ型と基本的に同様です。アーモンド・トゥやポインテッド・トゥなどが適しています。
まとめ
足型の種類別に靴を選ぶメリットや、代表的な足型について解説しました。靴の選び方で特に重要となるのは、つま先の形に合わせて靴を選ぶことです。人差し指が突出して長かったり、5本の指が均一の長さだったりと、足型によってつま先の形状は大きく異なります。つま先の形状に合わせて、先がとがった靴か丸みを帯びたタイプが良いかを判断していくと効果的です。
生活の中で長時間にわたって体を支え続ける靴の存在は、とても重要です。ぜひ自分の足に合った靴を見つけ、早いうちからいつまでも自分の足で歩けるように体を整えていきましょう。